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「できない」で終わらせない。国内外から注目を集める、銅加工のフロンティア企業による専門サイト「銅板加工.com」
銅は金属の中では柔らかい部類に入り、曲げ加工や絞り加工、切削加工など複雑な形や細かな模様まで、様々な加工が容易にできます。この加工性から、銅は日常生活から産業界まで、幅広い分野で使用されています。
しかし、特に純銅のような銅製品の場合、穴あけ加工が非常に難しくなり、多くの部品メーカーは高純度銅の穴あけ加工を避ける傾向にあります。
なぜ銅の穴あけ加工が難しいのか?
それは、銅の優れたメリットが裏目に働くためです。本記事では、これまでに多数の無酸素銅の加工を行ってきた銅板加工.comが、銅の穴あけ加工がなぜ難しいのか、その理由と対策方法についてまとめて解説いたします!
銅は大きく「純銅」と「銅合金」の2つに分類されます。
「純銅」とはその名の通り純度の高い銅で、主に工業用に使用されます。純銅は主に、「無酸素銅」「タフピッチ銅」「脱酸銅」という3つに分類されます。
>>無酸素銅とは? 特徴・メリットと他の銅素材・純銅との違いについてご紹介!
>>無酸素銅の加工性は良いの? 無酸素銅の特徴や加工事例についてもご紹介!
一方で「銅合金」とは銅に他の金属を添加したもので、銅としての特徴が少し薄まる反面、添加した金属の性質を引き継げるという利点があります。銅合金は添加される金属ごとに分類されたりと、非常にバリエーション富んでおります。
>>銅の分類と7つの特徴をご紹介! ~有名な特徴から意外なものまで~
>>低温・極低温環境で銅部品が使用される理由とは? 低温・極低温の違いについても解説
銅を加工する際は、主に①切削加工、②研削加工、③切断加工、④プレス加工、の4つの加工方法が選ばれます。もちろんこの他にも様々な加工法補が存在し、求める形状・サイズに合わせて適切な加工方法は異なります。
>>銅加工において選ばれる4つの加工方法とそれぞれの特徴|実際の加工事例もご紹介!
銅の穴あけ加工が難しい理由は、主に下記の2点にまとめることができます。それぞれ詳しく解説していきます。
①穴をあけている際に径が締まる
②穴の精度が悪化してしまう
銅製品に穴をあけている際には、必ず除去した分だけ切り粉が発生します。この切り粉が穴や工具に溶着してしまうことで、段々と穴の径が締まってきてしまうのです。この穴の締まりですが、下手をしてしまうと、ワークが回転してしまったり、ワークが100℃程度まで発熱したり、工具が抜けなくなり、破損してしまう恐れもあります。このような状態で加工し続けてしまうと、最悪の場合は工作機械の故障につながってしまう恐れがあります。
また、特に銅のような熱伝導性が高い材質に穴あけ加工をすると、どうしても切削加工域に熱が溜まってしまいます。すると、ワークや工具に熱が溜まってしまいますが、これがワークに歪みを発生させる原因となってしまい、穴径の精度が悪化したり、穴が深さ方向で曲がってしまい垂直でなくなってしまう恐れもあります。
上記2点への対策として、銅の穴あけ加工の際には、①切り粉の排出性をよくする、②なるべく発熱させない、という方法があげられます。
まず切り粉の排出性をよくするという点ですが、当社では切削工具にも工夫を凝らすことで、銅の深穴加工時であっても切り粉の排出性を高めることができます。
また発熱に関しては、基本的には切削速度を下げる、回転数を下げることで発熱を抑えることができます。しかし切削速度を落とすと、銅の場合は構成刃先の発生につながってしまいます。そのため銅の穴あけ加工の際は、発熱を抑えつつ、構成刃先の発生も抑えるという、この2点のバランスをとる必要があります。
銅のドリル加工(穴あけ加工)における注意点について、銅板加工 .comを運営する株式会社アイジェクト代表取締役の戸口がご説明しておりますので、ぜひご覧ください!
続いて、銅板加工.comが実際に行った、無酸素銅の加工事例をご紹介します。
こちらは、半導体製造装置で使われる、クロム銅製の電極部品です。
お客様から、強度や作業性、さらに耐久性が必要とのことで、クロム銅で作ってほしいとご相談をいただきました。
こちらは、クライオスタットに用いられる銅2.5次元加工品です。材質はC1020で、マシニングセンターにて製造いたしました。
こちらのプレート製品は、U溝部に対して高い公差精度を求められていました。そのため、あえてボールエンドミルを使用し、マシニングセンターで2.5軸加工で対応いたしました。
こちらは、高出力加速器に使用されるビーム配管部品です。材質はC1020で、航空宇宙業界向けに使用される製品です。フライス盤にて形状出し及び鏡面加工を行い、一部形状をマシニングセンタにて加工を行っております。
加速器は電子や陽子などを高周波の電力を与え高速に限りなく近いスピードにすることを目的としていますが、その配管においても電気抵抗を限りになくゼロにする、つまり超電導化するため、誘電率の高い銅が選ばれました。
こちらは、C1020製の実験用プレートです。無酸素銅を用いた実験をするため、20×20×2tの純銅プレートをフライス盤にて切削加工いたしました。
汎用フライス盤にてカットから平面加工まで一貫して熟練の職人が行っているため、高精度なテストピースの製造が可能となっています。
銅板加工.comを運営する株式会社アイジェクトでは、銅加工のほかにも、アルミやステンレスといった銅以外の製品加工も多数行っております。
当社は、業界を飛び越えて、様々な部品加工に関して設計段階からお手伝いさせていただいております。
機械加工では、マシニング加工、旋盤加工、研削加工、ワイヤーカット、放電加工、ガンドリル加工、BTA 加工に対応しております。そのほか、製品用途やお客様のご要望に応じて板金加工、TIG溶接、ファイバーレーザー溶接、ろう付け、金メッキ、黒アルマイトも承っております。
銅部品の加工のことでお困りの方は、銅板加工.comまでお問い合わせください!
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