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C1020とC1011の違いとは? 純銅加工のプロが解説

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C1020とC1011の違いとは? 純銅加工のプロが解説

2022年01月25日

 

低温環境や真空環境において使用されることの多い純銅ですが、その代表であるC1020とC1011の違いをご存じでしょうか。純度が極めて高いという点は共通していますが、最先端の研究開発分野ではごく僅かな違いが重要になってきます。
本コラムでは、C1020とC1011の違いについて純銅加工のプロが詳しく解説していきます!

 

純銅の定義は純度○○%!

 

原子番号29の銅(Cu)は、導電率や熱伝導率の高さ、良好な切削性、そして赤銅色の美しい光沢をもつことが特徴です。工業用の銅材料は、その純度から「純銅」と「銅合金」の大きく2つに分けられ、純度99.90%以上のものを総称して純銅と呼びます。純銅の種類は、純度の高い順に、C1011、C1020、C1100という3つが主に挙げられます。純銅は、ふつうの銅に比べ、より導電性・熱伝導性が高くなり、さらに展性・延性についても非常に良好です。したがって、配線・回路や電気・電子部品の材料としてよく使われます。

 

 

C1020とC1011の違い

 

ここからは、純銅の中でも特に純度が高いC1020とC1011について解説していきます。

 

C1020(無酸素銅)とは?

C1020は、一般に”無酸素銅”と言われる純度の高い銅材料の一種で、純度は実に99.96%以上になります。C1020の歴史は比較的浅く、1930年代にそれまでの真空溶解法に代わり、電気炉において純銅溶湯中の酸素をCOで還元するという量産技術が開発されました*。英語では、OFC(Oxygen-Free Copper)と呼ばれ、TPC(Tough-Pitch Copper)と言われるC1100(タフピッチ銅)よりもさらに純度の高い銅材料です。なお、C1100の純度は99.90%以上です。
*参考:新冨孝和、都丸隆行、矢島健児「超高純度金属細線による電動冷却Ⅱー高純度銅ー」『低温工学』46巻7号、421ページ、2011、https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsj/46/7/46_7_421/_pdf

 

タフピッチ銅について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

>>タフピッチ銅(C1100)の特徴・用途と使用上の注意点について詳しく解説

このC1100とC1020ですが、その純度の差はわずか0.06%です。しかし、実はこれが雲泥の差で、その理由は、水素脆化の問題にあります。C1100は、成分としてごくわずかに酸素を含有していて、その酸素は酸化銅(CuO₂)として存在しています。温度が約600℃以上になると、この酸化銅が水素と反応して水蒸気となり、内部に空洞を生じるほか、強度を低下(脆化)させてしまいます。

 

C1020は、酸素含有量が無視できるレベルなので、この水素脆化と呼ばれる現象が起きず、高温環境下でも扱うことができます。また、純度が上がると銅の長所である導電性・熱伝導性がさらに高まるものの、純度の低い銅に比べ強度は劣ります。なお、リンを用いて脱酸を行ったリン脱酸銅もこの現象が起こらず、工業用材料としてしばしば使われます。ただ、リン脱酸銅はC1020に比べやや導電性が劣るという欠点があります。

 

主な用途としては、ブスバー(バスバー)や熱交換器などがあります。ブスバーは、操作盤や配電盤、電池などの中の導体として大容量の電流を流す役割をもった部品です。

>>バスバー・ブスバーとは? 加工における2つのポイントについて解説

 

C1011(電子管用無酸素銅)とは?

C1011は、別名”電子管用無酸素銅”と言われる、純度99.99%以上の極めて純度の高い銅材料です。9が4つ並ぶことから4N(フォーナイン)と称されることもあります。なお、英語ではEOFC(Oxygen-Free Copper for Electron tubes)と呼ばれます。

 

C1011は、酸素だけでなく水素含有量もまったく無いことから当然水素脆化は起こりません。また、ガス放出量も少ないことから真空環境下で使用できるうえ、その破格の導電性から、工業用としては超電導ケーブルや海底ケーブルの部品として低温環境下においても高い需要があります。

 

C1020との違いは、まず材料入手の難度が上がるという点があります。そのため、材料コストや納期を充分考慮しておくか、もしくはC1020で代替できないかどうかぜひご検討ください。また、加工におけるポイントとしては、熱伝導性がC1020よりも高いことから構成刃先がより出やすく、切削ができなくなってしまうため工夫する必要があります。

 

研究開発分野では、粒子加速器の電極部品として重宝されています。加速器では、陽子や電子、中性子などの微粒子を高速に近い速度で衝突させますが、その際空気中に残留気体分子があるとぶつかってエネルギーを喪失し、加速器本来の効率を得ることができなくなってしまいます。したがって、ガス放出性が極めて低い電子管用無酸素銅が必須となるのです。なお、最先端の研究分野においては4Nの純度を上回る、5N、6Nなども使用されています。

 

 

C1020の加工事例をご紹介

 

次に、銅板加工.comが過去に行ったC1020の加工事例をご紹介いたします。

低温装置用銅板プレート

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こちらは、C1020製の低温装置用銅板プレートです。全体をマシニングセンタにて加工を行い、5か所の穴加工、手前2か所に関してはタップ加工を行いました。また、手前部分には溝加工も施しています。当社では、こうした多面加工もマシニングセンタにてワンチャッキングで行うことができるため、取り付け工程や取り付け誤差もなく、高効率かつ高精度な部品加工が可能となります。
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高出力加速器配管

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こちらは、高出力加速器に使用されるビーム配管部品です。材質はC1020で、航空宇宙業界向けに使用される製品です。フライス盤にて形状出し及び鏡面加工を行い、一部形状をマシニングセンタにて加工を行っております。

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C1020・C1011の加工のことなら、銅板加工.comにお任せ!

 

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こちらの記事もご覧ください。

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