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輻射シールドに高純度アルミや無酸素銅が採用される理由とは?

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輻射シールドに高純度アルミや無酸素銅が採用される理由とは?

 

輻射シールドとは、冷凍機とともに用いられる、真空環境で極低温を保つために必要な部品です。超電導リニアやKAGRAプロジェクトにも使用される部品ですが、その用途ゆえに採用される材質は、主に高純度アルミや無酸素銅に限られています。また、そのような高純度金属部品の調達から加工まで対応可能な部品加工業者も少なく、当サイトを運営する株式会社アイジェクトに多くご相談をいただいております。

 

ここでは、輻射シールドとその用途や機能から、輻射シールドに高純度アルミや無酸素銅が採用される理由まで、まとめて解説いたします。

 

 

輻射とは?

 

まず輻射という現象についてです。

輻射とは、熱が電磁波として輸送される現象のことです。通常の熱伝導とは異なり、空気や媒介物がない状態であっても熱を輸送することができます。輻射では、強度が距離の2乗に反比例する形で減少していくため、熱源から遠くなればなるほど輻射熱は弱くなります。

 

また、輻射は放射とも呼ばれますが、下記のような違いがあります。

 

輻射:等方的
放射:ランダム、もしくは指向性が高い

 

輻射の輻は、車や自転車のタイヤにおける輻(や)に由来しています。そのため、タイヤ中心の轂(こしき)から等方的に広がる輻のように、輻射には等方的という意味が含まれるのです。

 

 

輻射のわかりやすい例としては、太陽があげられます。太陽の表面温度は6000度に至りますが、宇宙空間で膨大な距離間があるため、表面温度から熱が伝わっているわけではありません。太陽から地球に熱が伝わっているのは、太陽からの電磁波が地球に届き、それが地球に当たることで初めて熱として感じることができるためです。

同じ容量で、電子レンジやストーブも電磁波により物体を温めている身近な輻射の例としてあげられます。

 

ちなみに熱の伝わり方には大きく下記の3種類あります。

 

・熱伝導:原子や分子の振動によるもの
・対流熱伝導:固体と流体、流体と気体のように、異なる気相間での熱のやり取り
・輻射:電磁波によるもの

 

例えばヒートシンクでは、隙間部分を考慮しない全体寸法が輻射領域となりますが、隙間部分に流体を送ることで対流熱伝導が発生します。つまり、表面積を大きくすることで対流熱伝導が生じやすくしているのです。

 

>>ヒートシンクの事例はこちら

 

 

輻射シールドとは?

 

続いて、当社にご相談いただくことも多い輻射シールドについてです。輻射シールドとは、英語ではradiation shieldと書きますが、冷凍機とともに用いられる、真空環境で極低温を保つために必要な部品です。

 

例えば超電導磁石を使う際には、超電導コイルをマイナス255度程度まで冷却する必要があります。その際に、効率的に冷却しやすく、また真空&超低温になった環境から輻射熱が外に出ないようにするための部品が、輻射シールドです。

 

輻射シールドが使われている有名な事例としては、かぐら(KAGRA)プロジェクトがあげられます。元々はLCGT(Large-scale Cryogenic Gravitational wave Telescope :大型低温重力波望遠鏡)と呼ばれていたこの大型望遠鏡ですが、その名の通り、重力波を捉えるために鏡の揺れを抑える必要があります。この揺れは、地面等の物理的な揺れはもちろんのこと、熱雑音による揺れも含まれます。この熱雑音の影響を小さくするためにも輻射シールドが用いられています。KAGRAのクライオスタットは、真空チャンバー+輻射シールド+冷凍機で構成されています。また輻射シールドは、80Kと8Kのように、二重で構成されることも多くあります。詳細はページ下部の参考資料をご覧ください。

 

 

輻射シールドに高純度アルミや無酸素銅が採用される理由とは?

 

輻射シールドに必要な機能は主に3つです。

 

・冷却しやすい
・一方で熱が外に出づらい
・真空環境にも耐えられる

 

特に熱放射量を抑える必要がありますが、その際には輻射シールドの枚数を増やすか、熱放射率が小さく低温環境で熱放射率の低い材料が求められます。この熱放射率εは、反射率rと反対の関係にあり、

 

ε=1-r

 

で求められます。つまり、低温で熱反射率の高い材料ほど、熱放射率が低くなります。またドルーデモデル(Drude model)より、金属の反射率と電気伝導度に相関関係があり、低温での電気伝導度が高い材料であれば低温環境での反射率も高くなります。

 

 

そして、低温で電気伝導度が高い材料が、高純度のアルミや無酸素銅になるのです。これらの材料は、純度が高いため水素脆化も生じにくく、真空環境にも耐えられる材料であり、まさに輻射シールドに適した材料と言えます。

 

当サイトを運営する株式会社アイジェクトは、高純度アルミや無酸素銅の加工を得意とするニッチで高い技術力を持つ加工メーカーです。そのため当社には、輻射シールドやクライオスタット、冷凍機、真空チャンバー等の高精度部品の製造依頼が多く集まっています。

 

 

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当サイトの高精度銅部品の加工実績をご紹介!

 

続いて、銅板加工.comがお客様からご依頼いただいて実際に製造してきた、低温環境下で使用される銅部品の加工実績をご紹介いたします。

 

事例①:低温装置用銅板プレート

低温・極低温環境で銅部品が使用される理由とは? 低温・極低温の違いについても解説|銅板加工.com

こちらは、C1020製の低温装置用銅板プレートです。全体をマシニングセンタにて加工を行い、5か所の穴加工、手前2か所に関してはタップ加工を行いました。また、手前部分には溝加工も施しています。

 

>>詳細はこちら

 

事例②:C1020製 クライオスタット向けプレート

低温・極低温環境で銅部品が使用される理由とは? 低温・極低温の違いについても解説|銅板加工.com

こちらは、C1020製のプレートです。こちらのプレートはクライオスタットにて使用される高精度加工品です。旋盤にて軸精度の高い円盤形状の加工を行った後に、マシニングセンタにて溝加工、穴加工を行っております。

 

>>詳細はこちら

 

 

輻射シールド等の低温機器向け部品の加工なら、銅板加工.comにお任せください!

 

銅板加工.comを運営する株式会社アイジェクトは、無酸素銅や高純度アルミをはじめとして、低温・極低温環境で使用される銅部品の加工実績が多数ございます。

 

また、銅素材に関するご相談や図面段階からの設計提案も至っております。低温機器の銅部品加工でお困りの方は銅板加工.comまでお問い合わせください!

 

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参考資料:

https://gwdoc.icrr.u-tokyo.ac.jp/DocDB/0080/G1808099/001/JPSmeeting%20Ochiver2.pdf

https://gwdoc.icrr.u-tokyo.ac.jp/DocDB/0002/G1000266/001/ysakaki_gwtalk.pdf