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低温環境下で治具を使用するのに必要な条件とは?

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低温環境下で治具を使用するのに必要な条件とは?

2022年09月15日

 

近年は超電導リニアを代表とした、低温環境が必要な技術が加速度的に進歩しています。そのような低温環境下での研究開発を行う上では、低温環境を作り出す装置の他に、試験片やワークを保持する「低温治具」も必要になります。

 

しかしこの低温治具は、低温環境という特殊な条件により、材質が高精度アルミや無酸素銅等の高純度金属に限られてしまいます。

 

当サイトを運営するアイジェクトでは、大学や研究機関、半導体製造装置関連メーカー、真空機器製造メーカーの方々を中心に、低温環境下で使用するための特殊治具を数多く製造してきました。

 

ここでは、低温技術の進展に伴い需要が高まっている低温治具について、必要な特性や、採用される材質について解説いたします。また最後に、実際に当社が製造した低温環境下で使用される高精度部品についてもご紹介いたします。

 

低温技術の進展

 

近年は低温環境に関連した技術の進展が目覚ましく、世間の注目も集めています。1900年代から、耐寒試験や低温試験は数多く行われていましたが、下記のような低温環境が必要な技術が加速度的に進歩しています。

 

・極低温試験装置(液体ヘリウムを用いる4K環境での試験装置)
・クライオスタット
・輻射シールド
・量子コンピューター
・粒子加速器
・超電導リニア
・核融合炉向けの超電導コイル

 

>>輻射シールドに高純度アルミや無酸素銅が採用される理由とは?

>>その他の超低温機器についてはこちら

 

特に現在では、次世代エネルギーの代表格である水素を用いた水素社会の実現に向けて、各社が液体水素に関連した研究開発を行っています。

 

低温環境下で使用する治具のニーズの高まり

 

こうした低温環境下で試験をする際には、まず低温環境を構築するための装置が必要になりますが、それ以外にも試験片や、試験片を保持するための治具も必要になります。

 

この「低温治具」や、さらに過酷な環境で使用される「極低温治具」の製造に関するご相談を、銅板加工.comを運営するアイジェクトでは多くご相談いただいております。日本全国の大学や研究機関、半導体製造装置関連メーカー、真空機器製造メーカー、さらには官公庁関連の方々からもご相談をいただいており、当社からは様々な技術提案を行っております。

 

一般的な治具選定のポイント

 

まず一般的な治具については、ポイントは下記の通りです。

 

・材質
・設計
・コスト

 

治具の用途によって設計は大まかに決まることが多いため、治具選定の上で重要になるのは材質選定です。治具の材質を選定する上で重要な項目は、

 

・強度・剛性
・耐摩耗性
・耐腐食性
・導電性
・加工性

 

などの項目です。治具は繰り返し使用する部品のため、強度や耐摩耗性が最も重要な項目になります。また使用する環境によっては、耐腐食性や導電性も重要な項目になります。

 

このように、治具を使用する環境によって重要視される項目が異なり、それにあわせて最適な材質を選定する必要があります。

 

この材質や形状設計によってコストが決まりますが、当社のような部品加工メーカーでは、材質別の最適な加工方法や、工作機械の特性を踏まえた加工方法を元に、VA/VE提案を行っております。

 

低温環境下で治具を使用するのに必要な条件とは?

 

それでは、低温環境下で使用する治具に求められる条件はなんでしょうか?

 

それは、低温環境下で金属が脆くなってしまう「低温脆性」が起きないというポイントです。多くの金属は、低温環境下では金属を構成する粒子の熱運動が抑えられ、塑性が低下する状態になります。そのため外力を加えると、脆く壊れやすくなってしまいます。しかし繰り返し使用する治具においては、強度や耐摩耗性が必要になるため、この低温脆性が起きないということが条件になります。

 

こうした低温脆性の他にも、水素脆化等も低温治具においては重要な項目としてあげられます。そして、様々な低温環境下での使用条件をクリアする材質が、当社が得意とする「高純度アルミ」や「無酸素銅」です。

>>低温・極低温環境で銅部品が使用される理由とは?

 

高純度金属材料製の治具を加工するポイント

 

高純度アルミや無酸素銅のような高純度金属材料は、一般的に熱伝導率が高く、腐食しやすく、反りも発生しやすい、取り扱いがとてもシビアな材料です。しかし切削加工や研削加工のような機械加工では、工具とワークの間で大きな熱が発生してしまいます。また微小領域に大きな力もかかるため、反りも大きくなりがちです。このような加工難易度の高さから、多くの部品メーカーでは高純度金属材料の加工には対応していないため、高純度アルミ製の低温治具や、無酸素銅製の極低温治具の製造を行っていません。

 

しかし当サイトを運営する株式会社アイジェクトでは、高純度アルミや無酸素銅加工のプロフェッショナルとして、数多くの低温環境下で使用される部品や装置の製造を行ってきました。特殊な形状や用途のため、サイトには掲載できていませんが、低温治具や極低温治具についても多くの実績がございます。

 

低温環境下で使用される高精度部品の加工事例をご紹介!

 

続いて、銅板加工.comがお客様からご依頼いただいて実際に製造してきた、低温環境下で使用される銅部品の加工実績をご紹介いたします。

 

事例①:低温装置用銅板プレート

 

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こちらは、クライオスタットの部品として使用されるバスバーです。材質は純銅(C1020)で、マシニングセンターで加工した後にベンダーで曲げ加工、さらにフライス加工をして仕上げをいたしました。

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事例②:C1020製 クライオスタット向けプレート

 

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こちらは、C1020製のプレートです。こちらのプレートはクライオスタットにて使用される高精度加工品です。旋盤にて軸精度の高い円盤形状の加工を行った後に、マシニングセンタにて溝加工、穴加工を行っております。

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事例③:C1020製 低温装置用銅板プレート

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こちらは、C1020製の低温装置用銅板プレートです。全体をマシニングセンタにて加工を行い、5か所の穴加工、手前2か所に関してはタップ加工を行いました。また、手前部分には溝加工も施しています。当社では、こうした多面加工もマシニングセンタにてワンチャッキングで行うことができるため、取り付け工程や取り付け誤差もなく、高効率かつ高精度な部品加工が可能となります。

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事例④:無酸素銅製 クライオスタット用シールド部品

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こちらは、クライオスタットに用いられるシールド部品です。

パイプ形状の部品ですが、無酸素銅(C1020)板でロール巻加工を行い、パイプとフランジを合わせて加工いたしました。また、ろう付け作業後に内外径を#400バフ研磨で仕上げ加工を実施いたしました。

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事例⑤:C1020製 実験用プレート

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こちらは、C1020製の実験用プレートです。無酸素銅を用いた実験をするため、20×20×2tの純銅プレートをフライス盤にて切削加工いたしました。
汎用フライス盤にてカットから平面加工まで一貫して熟練の職人が行っているため、高精度なテストピースの製造が可能となっています。

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低温治具等の低温機器向け部品の加工なら、銅板加工.comにお任せください!

 

銅板加工.comを運営する株式会社アイジェクトは、無酸素銅や高純度アルミをはじめとして、低温・極低温環境で使用される銅部品の加工実績が多数ございます。

 

また、銅素材に関するご相談や図面段階からの設計提案も至っております。低温機器の銅部品加工でお困りの方は銅板加工.comまでお問い合わせください!

 

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