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お客様より、「タフピッチ銅(C1100)の部品製作を検討しているのですが、”水素脆化”の問題について懸念しております、、」という旨のご相談を頂き、当社が材質変更の提案を行った技術提案事例をご紹介いたします。
水素脆化(英:Hydrogen Embrittlement)あるいは水素脆性という言葉についてご存じでしょうか。水素脆化とは、銅や鋼材中に吸収された水素により、鋼材の強度もしくは靭性(粘り強さ)が低下する現象のことを指します。その原因は諸説ありますが、メッキ等から水素分子が金属内部に侵入することにより、内部応力が高まる或いは金属結合を妨げることが原因であると考えられています。
この水素脆化の問題点は、”遅れ破壊”という極めて深刻なトラブルを引き起こす可能性がある点です。遅れ破壊とは、静的な荷重を受けている製品が、ある時突然破断するという現象です。ひびや軋み等の前触れが無いため、製品によっては大きな事故につながる場合もあります。
タフピッチ銅は、通常の銅合金に比べれば圧倒的に少ないものの、少量の酸素を含みます。そのため、600℃以上の加熱した場合、内部の残留酸素と水素が反応して、水素脆化が起こる可能性があります。
そこで当社では、タフピッチ銅から、さらに酸素含有量が少ない無酸素銅(C1020)への材質変更を提案いたしました。
タフピッチ銅が純度99.9%以上であるのに対し、無酸素銅は99.99%以上、すなわち酸素含有量は0.01%以下の純銅です。したがって、高温環境であっても水素脆化の心配がほとんどありません。
タフピッチ銅も酸素含有量が0.1%以下とごく僅かで、問題無いように思えますが、水素脆化はごく少量の水素でも起こりうる現象です。それゆえ、”0.1%以下”と”0.01%以下”は、一見小さな差のように見えて、実は非常に大きな差なのです。
当社は、純銅・銅合金に関する知識や加工ノウハウを豊富に持っておりますので、製品種類やお客様のご要望に応じて、当事例のような材質変更提案を行うことが可能です。製品の使用用途・使用環境を丁寧にお伺いすることにより、材質変更はもちろん、工法転換によるコストダウンから付加価値の高い複雑形状・難形状の実現まで、最善の方法を提案することが可能です。
当社の技術提案力は、国内最先端の研究開発を行っているメーカー様からも信頼を寄せていただいており、特に銅加工や真空部品製造に関しては非常に多くのご相談を頂いております。
銅部品の材質選定でお困りの方は、まずは銅板加工.comまでお気軽にご相談ください。
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